7. Bcl-2ファミリータンパク質は非アポトーシス細胞死も制御する
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清水重臣, 辻本賀英
キーワード
オートファジー, Beclin 1, ATG5
オートファジー
細胞内成分をリソソームで分解するためのマシナリー
栄養飢餓などの際に細胞を護るために機能している
オートファジーが細胞死に関与している可能性も示されていたが、その実態は不明だった
Bax/Bakのダブルノックアウト線維芽細胞(DKO MEF)は、ミトコンドリアを介するアポトーシスが誘導されないことが知られていたが、この細胞に抗がん剤やスタウロスポリンなどの種々のアポトーシス刺激を加えたところ、アポトーシスの代わりに、オートファゴソームが細胞内に充満して死に至ることが観察された
さらに、この細胞死はオートファジー阻害剤(3-MAやウォルトマンニン)の投与やオートファジー関連分子(Beclin 1やATG5)のsiRNAを用いた発現抑制により顕著に緩和させた
すなわち、DKO MEFに抗がん剤などのアポトーシス刺激を加えた際の細胞死は、典型的なオートファジー様細胞死であった
また、以下のことを勘案すると、オートファジー様細胞死の誘導は、アポトーシス回避による影響よりも、Bcl-2/Bcl-xLとBax/Bakの発現量バランスの崩壊による影響の方が大きいものと考えられた
①野生型MEFをエトポシド処理する際にカスパーゼ阻害剤(zVAD-fmk)を添加してアポトーシスを抑制しても、オートファジー様細胞死は限定的にしか誘導されなかったこと
②一方、野生型MEFにBcl-2やBcl-xLを高発現した際には、顕著なオートファゴソームの形成やオートファジー様細胞死の誘導が観察されたこと
Bcl-2/Bcl-xLによるオートファジー様細胞死の制御には、オートファジー関連分子であるBeclin 1とBcl-2/Bcl-xLの直接結合が重要であると考えられている